ランウェイで笑って 全話 感想

連載は、週間少年マガジン2017年26号から2021年33号。
アニメは1期が完了しており、最終巻は2021年8月17日発売予定です。 全話読みきったので、その感想をば。
(ぼくはアニメから。原作のほうが好きな部分が多いですが、アニメもおすすめ。)
全体感
育人と千雪の「2人」だからこそ成り立った、そんな物語。
ほんとに最初のうたい文句に偽りなし!って感じでしたね。
導入は千雪が引っ張って育人を業界入りさせ、
お互いを意識してライバルとしても高めあい、
それぞれ関わらなくても自身を高め、
千雪がスランプに陥っても育人が救い、
「2人」で常識・価値観を塗り替えていく。
一番「2人」感があったのは、
育人が千雪のために世界を変えるデザイナーになる決意をしたところ。
たしかに「これは2人の物語」だな、って思った!需要がないなら創ればいいんだよ。
今ある「リアルクローズ」と今はない「モード」、
その使い分けをデザイナーはしないといけない上に、モードを追求するのは尊敬。
育人の高校生編は高い壁に対して挑戦ってかんじ、
その挫折を経て、アプロ編は成長・布石って感じでした。
そしてデザイナーから独立編は、もう変革、かな。
育人への信頼の集まり方とか、ライバルとの関係性とか、うまく少年マンガしてたなー。
あと中盤~後半で多かったのが「ユニセックス」。
まぁこれは「今ある言葉」ってことで、ありとあらゆる調和の代表格なだけ。
芸華祭でのユニセックスから、最後の「未来」の常識変革まで、物語の芯としての役割があったね。
今は「調和」と「個人化」両方が進む時代なので、ほんとどうなっていくのかな。
正直、この30年後の話とか気になる。(その後の常識の変遷がね)
細かいところ
さて内容のほうにも少し触れますが、
EGAOの独立のときに、あんなにアプロアイディーテ(Aphro I dite)内部から抜いたら怒られそう…。
だけど、麻衣さん自身もわりと引き抜いちゃってたみたいでそういう業界なんかな…笑
あと無理やりにでも巣立たせる方針なのは、見習いたいね。(結局誰にアプロは継がせるんだか)
柳田さんと遠くんは序盤からかなりのキーパーソンでいい役してた。
遠くんのイケメンっぷりもなかなかいいよね。自分へのハードルの高さや、敵に塩を送るかんじ。
ほんとの最後のほうには出てこなかったのが個人的には残念だけど、物語的にしょーがない。
少年マンガ的師匠とライバル(敵)の役割が、とてもよかった。
アプロ編から登場の美依さんと花丘くん(絵の左二人)、
こんなに重要なキャラだと思ってなかったよ…。ほんとに想像以上に重要だった。
美依さんはとむらくん呼びは治らないのねー。人脈お化けのすごさはあった。
あと、その道で懸命に努力すれば、ちゃんと「努力」として成り立つんだな。実を結ぶかは別だけど実力にはなる。
靴に関しては、後付けなのかは知らなけど、いい伏線回収だった。カバンのときの革にもつながったし。
常に柳田さんの用意したもののなかにあったっていうのがおもしろいけど、そこは柳田さんの人の好さかな。
ミルネージュ(Mille neige)の危機は衝撃強かった。
藤戸父の過去のやらかしなんてあったなんてな。小規模ながらも国内でメジャーだと思ってたし。
そして最終的にほんとに一回無くなったのもびっくりした。
藤戸父の能力などのおかげで復活できたんだろう。よかったよ、ほんとに。
そういう意味では、少し育人がパリに行くのに時間かかってよかったよね。
恋愛要素もドキドキさせてくれました。メインじゃないけど。
育人モテモテ。真剣な男子はかっこいいなぁ。
最後には育人の左手の薬指の指輪がひかる。実は相手は明言されないという。
心も千雪も、左手の描写なし。(少なくとも本編では。)
え、その対象の二人、千雪(絵真ん中)と心(絵右端)の話題が少ないって?
うーん。いや、なんか書くことないんだよね。感じることは多いんだけど。
モデルに関しては、セイラさんは怖かった。一番最初のきっかけの人なんだけど。野心とオーラが、ね。
心はデザイナーとして独立しないんだな、と思ったけど、デザイナーさんがすべてブランド持ってるわけじゃないもんね。
野望の重要性は、ある。ただ、Goalがあればいいので、Targetは都度でもいい。
心も目の前のことを一つずつやっていくタイプで、野望とか気持ち的にもいいところに落ち着いた感じする。
千雪は、最後を除いてまったくぶれないタイプで、ほんと尊敬。
やるべきことがわかっていて、そのための努力もできるので、こういう人に夢をかなえてほしい。
一瞬ぶれたというか道を失いかけたのは、心の基礎がなくなっちゃったという感じかな。
それでもそれまでの努力は認められ、周りのサポートで立ち直ったのは感動もんでした。
おわりに
最後にはタイトル回収もでき、とてもいい。
ファッション関係を少年マンガにするのは、少年マンガ界としての「モード」だったかもしれません。
しかし、それこそとても強い主張・想いがこもっている作品だと思います。
(ん?そりゃあ実際に育人みたく短期間で実は結ばないかもしれないけどこれも少年マンガらしさっしょ!)
とても、とてもとても、よい作品だった。
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